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インターネットの現在から出版の未来を読む
本セミナーは終了しました
ご希望の方には,次回開講日程が決まり次第ご連絡いたします
こちらのフォームよりご連絡先をお知らせください


インターネットは「出版」の意味を根本的に変えてしまった
WWW(ウェブ)と呼ばれるネットの特徴をふまえつつ,
紙の出版とウェブ出版の類似点・相違点を検討し,
これからの出版の可能性を探っていく



講 師 仲俣暁生(なかまたあきお)[略歴
日 時 (1)2006年7月4日 (2)7月11日 (3)7月18日
    (4)7月25日 (5)8月1日 (6)8月8日
    毎週火曜日 18:45〜20:45(2時間)
場 所 日本エディタースクール
受講料 全6回一括27,000円〈22,000円〉(税込),
    1回5,000円〈4,000円〉(税込)
    *〈〉は常設コースの受講生・修了生割引料金
定 員 40名(最低実施人数15名)


電子書籍,電子文庫(各種E-book)

電子出版の話題の中心となってきたのは「電子書籍」だった.過去にさまざまなとりくみがなされてきたが,現在はやや勢いがなくなってきている.その理由を,書籍とはなにか,インターネットとはなにか,という基本からあらためて考える.

↑ 7月4日(火)

電子アーカイブ(電子図書館,E-Library,Amazon,Googleのアプローチ)

電子書籍という考え方にかわって,ネット上でリアリティを増しているのは書物の集合体としてのアーカイブという考え方である.古典的な電子図書館から,最近のアマゾンやグーグルのとりくみまでを概括する.

↑ 7月11日(火)

電子百科事典(Britannica, 世界大百科,Japan Knowledge,Wikipedia)

電子出版の成功例としてみられてきた百科事典にも,新しい波が起きている.著作権フリーの投稿型百科事典,Wikipediaの急速な成長は,百科事典の意味だけでなく,出版という行為の意味を根本から変える可能性をもっている.その理由を考える.

↑ 7月18日(火)

ウェブジン(オンラインマガジン)

インターネットを「雑誌」のようなメディアとして活用しようという流れは,すでに長い歴史をもっている.しかし,老舗の「サロン」をはじめ,有料モデルはなかなか成功していない.「雑誌」「マガジン」という考え方が,ネットによってどう変わったかを考える.

↑ 7月25日(火)

ブログ,SNS,Web 2.0,マッシュアップ

昨今のインターネット界の話題をさらっている「ブログ」「SNS」.これらが受け入れられた理由を考えることが,未来の「編集」「出版」に向けたヒントとなる.「Web2.0」といわれるさまざまなサイトの例から,将来の出版のイメージをつかむ.

↑ 8月1日(火)

EPIC2014〜未来の電子出版メディア

これまでの講義をもとに,未来の電子出版メディアについてフリーディスカッションをしてみたい.2004年に発表されて話題になった「EPIC2014」というフラッシュムービーをたたき台に,そのような未来が本当にくるのかどうかを議論する.

↑ 8月8日(火)


インターネットは本の敵か─このセミナーで考えていきたいこと

 ここ十数年,出版界の沈滞を嘆く言葉や,若い世代の読書離れの傾向を憂う言葉が,いくどとなく語られてきました.こうした趨勢の果てに,「本」というメディアの将来そのものを悲観的にとらえる人も少なくありません.これらの人たちが語るとおり,これまで長きにわたって人類の知の土台を形成してきた「本」の運命は本当に,いまや風前の灯火なのでしょうか?
          ・     ・     ・
 その一方で,ここ十数年で私たちをとりまくメディアの状況は一変しました.1995年のウィンドウズ95登場とインターネットの本格的普及を契機に,これまで「本」がもっぱら引き受けてきた言葉を扱うメディアの領域が,一気に拡大されていったことは誰もが認めざるを得ない事実です.さらに,近年では「ウェブ2.0」という言葉で表される検索エンジンを初めとした新しい動きが,インターネットというメディアの意味を根底から変えつつあります.
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 これまでインターネットは,昨今の「本」の衰退の原因としてしばしば名指しされてきました.けれども,そのような意見を言う人の多くは,インターネットが書物や出版の世界に与えた貢献によって,私たちがどれくらいの恩恵をこうむっているかを,必ずしも十分に理解しているとはいえません.
          ・     ・     ・
 たとえばオンライン書店の存在を考えてみましょう.いまや私たちの生活に欠くことのできないインターネット上のさまざまな「書店」は,新刊書・古書を問わず,人と本との出会いに新しい回路を開きました.各種の電子図書館をはじめとする,さまざまな電子アーカイブは,消費財ではなく,共有財としての「知」の世界を拡げています.長い伝統を誇る「百科事典」という出版物のジャンルでも,オープンソースというまったく新しい発想で日々編纂されつづける電子百科サイトが登場し,その精度を高めています.
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 電子メディアの世界におけるこうした活発な動きを,従来の「本」の世界を滅ぼしたり,脅威を与える「敵」,あるいは理解不可能な「異物」としてとらえるのではなく,むしろ「本」のもつ可能性を広げ,未来につなげていく「味方」,あるいは共同作業者としてとらえることはできないでしょうか.もっと大胆に言えば,これらの新たな「電子的出版物」によって,「本」というメディアの定義が変わらざるを得ない時期が,そろそろ来ているのではないでしょうか.「ウェブ2.0」という流行の言葉になぞらえて言えば,いまの本はこれまでにも幾度となくバージョンアップをしてきた結果,いまの姿になったものだといえます.過去十数年の「電子メディア」における試行錯誤を検討することで,来るべき次世代バージョンの「本」の姿がみえてくるかもしれません.
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 今回の連続セミナーを通して考えてみたいのは,従来の「本」と,電子的なメディアのうえで生まれつつある,従来の「本」にかわるさまざまな動きを概観しつつ,両者を対立的なものとしてとらえるのではなく,そこから浮かび上がる新しい「本」の可能性をさぐることです.講義の内容としては,「電子書籍/電子文庫」,「電子アーカイブ」,「電子百科事典」,「ウェブジン(オンラインマガジン)」,「ブログ,SNS,Web2.0,マッシュアップ」といったキーワードを中心に,電子メディアの登場によって,従来の「書籍/文庫」「図書館」「百科事典」「雑誌」「読者共同体」がどのように変わり,あるいは変わらずにいるのかを考えていきます.そして最後に,出版界のみならず,新聞・放送・広告業界にまで大きな衝撃を与えた,「EPIC2014」という未来型メディアの仮説を検討し,「本」とその生産者・消費者の関係がどのようなかたちに変わっていくかを,受講生の方をまじえて議論してみたいと思います.
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 「本」というメディアが人類の歴史に登場して以来,「本」はその姿かたちを幾度も変えてきました.そして,そのたびに「本」と私たちとの関わり方も大きく変わってきました.いま私たちが「本」と「インターネット」という別々の言葉で呼んでいるメディアが,遠い将来にはひとつのものになっているかもしれないのです.「インターネット」は本の「敵」ではないし,本の世界に関係のない「他者」でもありません.むしろ「本」というメディアのもつ可能性を私たちがより深く理解するための契機であるはずです.このささやかな確信から,この連続セミナーを始めてみたいと考えています.

仲俣暁生



仲俣暁生(なかまたあきお)

元「季刊・本とコンピュータ」編集長
批評家,編集者
1964年東京生まれ. 早稲田大学政治経済学部卒.
情報誌『シティロード』,コンピュータ文化誌『ワイアード』日本版,出版文化誌『季刊・本とコンピュータ』などの編集部を経て,現代文学からインターネットに至る同時代の表現を幅広く論じる文筆活動に入る.
著書に『〈ことば〉の仕事』(原書房),『極西文学論 Westway to the World』(晶文社),『ポスト・ムラカミの日本文学』(朝日出版社),共著に『オンライン・マガジンを読み倒す』
(トランス・アート),編著に 『いまの生活「電子社会誕生」』(晶文社)がある.

公式ブログ【海難記 Wrecked on the Sea】
http://d.hatena.ne.jp/solar

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